前回レポート以降、金価格は上昇を続け、1トロイオンス当たり4,600ドル近辺で史上最高値を更新しました。本レポートの最後では、金の日足チャートのテクニカル分析も加え、より包括的な見方を提示します。 本日発表の米国インフレ指標 米国の12月CPI(消費者物価指数)が本日後ほど発表される予定で、市場参加者の大きな注目を集めています。エコノミストの予想では、12月のコアCPIは2.6%から2.7%へ加速すると見込まれており、これが確認されれば、FRBが当面金利を据え置くとの見方が強まり、ドルを下支えする可能性があります。 一方で、インフレ圧力の緩和が示される場合には、FRBに対して利下げ再開を求める圧力が強まる可能性があり、その場合はドルの重しとなる一方、ドルと逆相関の関係にある金価格を押し上げる要因となるでしょう。 地政学的緊張が意識される局面 地政学的には、市場は2つの新たなリスク要因を消化しています。 まず、米国のグリーンランドに対する領土的野心が、NATO内部の摩擦を引き起こしています。トランプ大統領は「我々にはグリーンランドが絶対に必要だ。防衛のために必要であり、何らかの形で手に入れる」と発言し、これに対しグリーンランド側は「いかなる状況でも受け入れられない」と応じました。グリーンランドはデンマークの一部であり、NATO加盟国でもあるため、同盟国による軍事行動の示唆は、同盟の信頼性を著しく損なう、あるいは解体に至る可能性すらあります。 さらに、トランプ大統領はイランについて「軍は検討しており、非常に強力な選択肢を検討している。最終判断を下す」と述べており、米国がイラン、あるいは地域の同盟国を通じて軍事行動に踏み切る可能性が取り沙汰されています。これに対し、**イラン国会議長は『来てみれば、地域にある米国の艦船や軍事基地がどうなるか分かる』**と警告しており、全面的な紛争に発展するリスクも否定できません。 こうした2つの地政学リスクは、安全資産としての金への資金流入を促し、金価格を下支えした可能性があります。現政権の外交姿勢や、大統領の非外交的とも言える発言を踏まえると、こうした強硬な言辞が今後も続き、金価格をさらに押し上げる可能性があると考えられます。…