
前回のレポート以降、金価格は全体的に比較的安定した値動きとなりました。本レポートでは、明日に予定されている米連邦準備制度(FRB)の政策金利発表に注目するとともに、金と米ドルの逆相関が依然機能しているか、そして地政学リスクが金相場へ与える影響について見ていきます。また、より俯瞰的な視点として、金の日足チャートのテクニカル分析も合わせて行います。
FOMCの金利発表は金トレーダーにとって最大の焦点
今週の市場で最重要テーマは、明日の米FOMC政策金利決定です。市場は25bpの利下げを9割以上の確率で織り込み済みで、さらに来年に追加2回の利下げを見込むとの見方が金利先物に表れています。
つまり、仮に明日利下げが実施されても、市場が期待する緩和ペースはまだ上にあるため、市場の焦点は発表後のフォワードガイダンス(今後の方針)へ移る可能性が高いと言えます。
FRBの姿勢判断のポイントは以下の4つ:
パウエル議長会見
→ ハト派寄り発言・利下げ余地を示唆 → 金相場の支援
→ タカ派寄り(さらなる緩和に慎重) → 金相場に重さ
声明文
→ タカ派色が強ければ金価格は下押し圧力。
ドットチャート(金利見通し)
→ 2026年以降の政策金利が市場想定(3.25%〜3.50%下)を下回るなら、ハト派シグナルとして金を支援。
マクロ経済見通し(特にインフレ・雇用)
→ インフレが粘着的との見通しなら利下げ期待が後退し金は弱含む。
→ 逆に雇用の大幅な軟化予想ならハト派判断となり金を押し上げる可能性。
ウクライナと ベネズエラ情勢も影響要因に
地政学的リスクとしてはウクライナ戦争とベネズエラ情勢を継続監視しています。
ベネズエラ空域の閉鎖は戦時行動との見方も
→ もし米軍関与などへ発展すれば金相場は上昇圧力
→ ただし現段階では緊張緩和シナリオは見えにくい
ウクライナ和平交渉は進展なし
→ 具体的成果が出れば市場のリスク後退により金は下落要因
→ 逆に紛争激化なら安全資産として金価格を支援
ドルとゴールドの逆相関は現在不活性
過去1週間、金とドルはともに横ばい推移しており、通常見られる逆相関は明確に働いていません。また米国債利回りが上昇したにもかかわらず金価格が下落しなかったことは、現時点で米国債が金の代替投資先として強い魅力を持っていないことを示します。
テクニカル分析

サポート:4050 (S1), 3890 (S2), 3615 (S3)
レジスタンス:4245 (R1), 4380 (R2), 4800 (R3)
ゴールドはレンジ相場継続、ブレイク待ち。
前回レポート以降、金価格は4245(R1)手前で安定推移し、ごく弱い下落圧力は見られるものの、明確な売り方向とは言いがたい状況です。
- 上昇トレンドラインは維持 → 上昇再開の余地あり
- RSIは50〜70圏 → 市場は弱含みながらも強気寄り
- ボリンジャーバンド縮小 → 低ボラティリティ・レンジ継続示唆
📈 強気シナリオ(再上昇)
→ 4245(R1)突破 → *過去最高値 4380(R2)*を視野
📉 弱気シナリオ(下落転換)※可能性は低い
→ トレンドライン割れ → 4050(S1) → 3890(S2)
IronFX上級リサーチアナリスト
ピーター・ヨシフ
公認会計士(ACA)、ICAEW会員




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